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語学も音楽も全ては「耳」から  仙波真知子

2016,11,1

[ コラム ]

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仙波真知子(せんばまちこ)
音楽療法士 エルパ専任講師

1996年渡英。滞在中に日本人子女向けに音楽教室を開催し、日本語・英語でのピアノ・リトミックを指導研究。帰国後ミュージックインストラクターズ養成学院にて音楽療法士の資格を取得する一方ピアノ・リトミック講師育成のサポートに携わり多数の卒業生を輩出。
2008年よりエルパで音楽療法士として登録。
2010年よりエルパ専任講師となりサウンドカラー音楽院を監修・指導。
2011年エルパ主催のリトミック講師養成講座を監修・指導。
2014年帝京平成短期大学夏季保育コースで音楽指導法を講義。
これまでに自治体・医大病院・保育・介護・福祉・宗教法人・キャリア開発育成の企業・団体から講師として招聘され各種音楽セミナーも実施している。

 

なぜ、いま聴育なのか

 

【耳を育てる「聴育」とは】

音楽や英語学習は早期学習が有効であるといわれています。
身長や体重といった体格的なものは遺伝の要素が大きく、学校の教科学習も遺伝と環境の要素が半々といわれています。
しかし音楽や英会話という「聴覚を育てる」→「良い耳を育てる」というのは環境が大きく影響します
更に神経系に属する聴覚は5歳でほぼ完成します

 

図1

神経系に属する聴覚は5歳でほぼ完成!

「スキャモンの発達・発育曲線スキャモンの発達・発育曲線」〈引用1〉

 

聴覚は生後1歳くらいから白質の発達が始まり4~5歳あたりに発達のピークを迎え、聴覚を司る脳部位の神経細胞は5歳から12歳の間に発達を続けると言われています。

英会話の本が沢山自宅にあっても一緒に会話をしてくれる人がいないと話そうという意欲も湧きません。また、メディアによる学習ではパターンを覚えることが主になり、実際の会話力は身に付きません。一方通行の学習では応用力も身に付くことはありません。
会話力・応用力をつけるには使うことが大切であり、それには相手が必要です。
さらにその相手がコミュニケーションをとろうとしてくれないと折角自分が頑張っても上手くいきません。
どんなに机上で学習してもそれを叶える環境が無いと相手に伝わる会話は上達しないのです。

一方音楽を聴くことで音程・音質・表情を受け止める豊かな器官としての発達、情緒的な発達が促されます。コミュニケーションはこれらの部分が不可欠です。

聴覚の発達は断片的で一方的な言語刺激では不十分です。音楽の連続する快い刺激を加えることによって、聴覚は言語も快適に受け入れることができ、より発達を促進します。これがSmily Villageのめざす「聴育」なのです。

 

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【生の音にこだわる理由】

巷では洪水のように様々な音楽が溢れていますが、人は生の音が発する振動や温かみに強く反応します。例えば、花火をTVではなく混雑した会場で見たいと思うのは感じる音の質が異なるからです。単純に「花火を見る」のではなく「音を体感」しに行くのです。ライブ会場が盛り上がるのはそこに「生の音」のやりとりがあるからです。「生の音」でこそ体と脳そして心が動きコミュニケーション力が喚起されるのです。

シカゴ大学のジャネレン・ハッテンロッカー氏は、「生の言葉でないと子供の言語能力の発達を刺激する働きはない。その理由は目の前の出来事と繋がった言葉でなければただの雑音に過ぎない」と説いています。「同じ事柄でも『嬉しい』『悲しい』といった感情と結びつくと、より強く脳の回路を刺激すると考えられる」としています。〈引用2〉

現代の圧縮されたmp3やCDの音源、音響設備では高低の幅が狭く、特に低音部分のカットは顕著です。このことからも「生の音」は伝わり方、拡がり方が全く違うことは明らかです。人が音として認識できる範囲を「可聴音」といいます。これは小学生の時が最も鋭敏で、微妙な音程のズレや聞こえる音の範囲が大きくなっています。20歳前後までは聞こえるモスキート音という高周波の音は中高年には聞こえないという現象でも知られています。〈引用3〉

 

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高周波の音を聴きとれることが言語にどのような重要性があるのか聴覚・心理・音声学国際協会会長であるアルフレッド・トマティス氏は研究で明らかにしています。

言語として優先的によりよく使われる音の周波数帯が有り、この周波数帯を「言語のパスバンド」と名付ける。新生児の「パスバンド」は人間の耳が聞き取れる20Hz~20,000Hzを言語として認識できる潜在能力があると言われている。

しかし、2歳になる頃になると「パスバンド」は固定され、その時点で不要とされる帯域の聞き取りに関連した神経細胞は死滅していき、生後10歳~11歳ぐらいまでに基本的な聴覚が出来上がってしまうと、それ以降、「パスバンド」外の音は聞こえても、言語音としてはなかなか認識されない。

 

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 氏の研究に依れば、表のように、短い子音を強く発音する英語は2,000Hz~16,000Hz、母音の多い日本語は125Hz~1,500Hzとなります。即ち、日本語と英語の間には「パスバンド」としては完全に溝が有ることが分かります。この溝を埋めるのが音楽になるのです。「楽器の周波帯域」の表で明らかなように、ピアノやバイオリンなどの生音は英語の音の幅を補い、聞き取りに関連した神経細胞の衰退を止める効果があります

更に、超低周波や超音波も非可聴音であり、この聞こえていない音も含めて感じる(=生の音を聞く)ことが脳のリラックス状態時に出現するα波と関連性があることが日本レーザー医学会誌「高周波非可聴音による脳賦活,若中年者と健常高齢者に対する PETとEEGによる検証」で発表されています。

 

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【いま、やる理由】

今日は世界中の音楽が簡単に聴ける時代になりました。世界は猛スピードで繋がってきています。色々勉強してから、自分のペースでゆっくり…などといって英会話や音楽のレッスンに行っても中々成果がでず、焦りすら感じてしまうかもしれません。
それは「楽しむ」余裕がなく「目的に合わせて」頑張っているからです。
「目的に合わせて」の教育は「心」が置き去りになりやすく、「失敗を恐れる」「失敗を許せない」壁を無意識のうちに作ってしまいます。
音楽は失敗を問われません。 間違っても次にチャレンジすることで楽しい音程や音色を作りだす成果として返ってきます。
知性の発達は情緒の発達と調和をもって進んでいくべきなのではないでしょうか。
今こそ、「生の音」に触れる環境を活かして「心」を育くむ時なのです。

 

【Smily Villageを選ぶ理由】

1.演奏家が英語で音楽を指導する

演奏家は音楽の良さを最大限に伝えるプロフェッショナルです。経験の浅いお子様でも演奏家の演奏が良いものであることは感覚で理解できます。日本の英語レッスンでもネイティブの講師による歌やダンスが取り入れられていますが、多くは表現力が伴わず、「非言語コミュニケーション=nonverbal communication」を取り入れても生かし切れていません。

演奏家が指導することは同じレッスン時間でもより良い環境となります。なぜならば、演奏家でなければ伝えることのできない音楽そのものを「楽しむ」こと、更にはプロの技術習得方法、表現方法を学ぶことができるからです。お子様はそれを自然に吸収していくことにより、自分で演奏する時に自然にアウトプットされます。
良い発声の人が傍にいて真似をする、良い演奏の手つきや吹き方を見てそれが自然だと思う。これを「ミラーリング効果」といいます。上達に加速度が付くのは必然です。

 

2.みんなでやる、賑やかなことの良さ

音楽はミスのない演奏をすることが目的でしょうか?
演奏家にさせたい、学校で良い成績をとりたい、このような目的があるならば技術の錬磨が必要です。ですが、音楽に触れる入口から目的を設定するのはお子様でしょうか?親の想いではないでしょうか。まずは音楽が楽しい、気持ち良いものであることが大切な入口です。そして競い合わない環境があることで、ストレスから解放されます。

音楽は「行儀よく音を立てず閉じられた空間で聴く、演奏するもの。」と思っていませんか?私達はそこに音楽があることで静寂や緊張から解放され、音楽のある空間で癒されるのです。

子どもはみんなの中で育っていきます。みんなでやる「賑やかで楽しい」を知ることで強い親子の絆をベースに安心できる人間関係や社会性を獲得していく扉を自ら開けていくのです。

 

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3.開放的なスペースが最高の環境

音楽のレッスンは狭く仕切られたスタジオか、先生の御自宅に通う、というのが一般的です。そこは清潔であったとしても、閉じられていて非常にアウェイ感がありストレスが掛かる空間です。この空間で自分が達成していない部分を指摘され、終了時間が来るまで向き合う…何とも窮屈です。それらを全て取り除くと音を出すことに躊躇がなくなり、最高のリラックス状態で演奏ができ、レッスンの成果を十分に感じることができるのです。

 

4.スムースなコミュニケーション

 音楽は初めて会った人でも、年代が違っても、性別が異なっても、言語が違っても共有できるツールです。そこに楽譜がなくても大丈夫。

人間は言語による表現に頼りすぎて、それを失う(他言語が聞き取れない、話せない)とまるで自分を失ったようになってしまいます。それを補うのが非言語コミュニケーション=nonverbal communicationです。それは音楽であったり身体表現であったりします。Smily Villageでは英語という日本語に頼らない言語表現を使い、音楽と身体表現を合わせることで和訳せずに理解するダイレクトな状況理解・言語理解をスムースにします。

 

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5.継続することで意欲を育てる

 音楽も語学学習も一朝一夕で身につくものではありません。人は感情のあるやり取りを繰り返すことで、学習したことを定着させていきます。論理的思考の鍵となる「因果関係」という概念を理解するにも、感情との結びつきが大きな助けになります。

 1996年2月にニューロジカル・リサーチ誌に発表されたカリフォルニア大学アーバイン校の神経科学者ゴードン・ショーが率いる研究チームの論文では、音楽が時空間の認識能力、例えば数学やエンジニアリング、チェスなどの基礎に影響があることが発表されています。

「平均的レベルの時空間認識能力を持つ3~5歳児に毎週1回ピアノのレッスンをしたところ半年後には34%の子供が平均レベル以上の時空間認識能力を示すようになった。この結果についてはピアノの鍵盤を叩いてメロディーを奏でることで、空間(鍵盤)と時間(メロディー)を結びつけるニューロン(人間の脳に存在する神経単位)が強化されるのだと説明している。」〈引用4〉

 このように続けることによって成果が現れてくるのです。乳幼児期はその時に楽しかったとしてもまた次がないと他の楽しいことに興味が移ってしまいます。自分では上手く復習できていると思っていても、先生に見てもらうことで偏りの修正ができ、意欲も継続します。

 Smily Villageに来てリラックス状態を維持して英語で音楽を楽しむことが身に付くと、物怖じしないで英語も音楽も自ら上達しようという意思と自信が育ちます。そして将来、自分で演奏する、他人と演奏する喜びを携えて世界中の人と臆せず繋がることができる、難題にも突破する意欲が育つことでしょう。

 


《引用文献》
〈引用1〉「スキャモンの発達・発育曲線」So-net
〈引用2〉ニューズウィーク日本版SPECIAL EDITION
0歳からの教育&4歳からの学習 第2章 株式会社TBS ブリタニカ

〈引用3〉よくわかる低周波音 1.低周波音とは
環境省 水・大気環境局大気生活環境室

〈引用4〉ニューズウィーク日本版SPECIAL EDITION
新0歳からの教育PART I第2章 株式会社TBS ブリタニカ

〈引用5〉高周波非可聴音による脳賦活、若中年者と健常高齢者に対するPETとEEGによる検証

href=”http://doi.org/10.2530/jslsm.jslsm-36_0015ttp”>http://doi.org/10.2530/jslsm.jslsm-36_0015ttp:日本レーザー医学会誌

《参考資料》
練習の生理学 早期教育の効果(2015/10.17)
http://www.piano.or.jp/report/03edc/brain/2011/03/29_12324.html
デジタル大辞泉の解説
ひげんご-コミュニケーション【非言語コミュニケーション】⇒ノンバーバルコミュニケーション
CDからMP3変換時、どれくらい音がカットされるか音声波形から見てみる
http://michisugara.jp/archives/2013/cut.html

黙殺の音 なぜ低周波音が聞こえるか パスバンド理論
http://www.geocities.co.jp/NatureLand/9415/sikou/sikou31_081107_passband.htm
高周波非可聴音による脳賦活、若中年者と健常高齢者に対するPETとEEGによる検証
http://doi.org/10.2530/jslsm.jslsm-36_0015ttp:日本レーザー医学会誌
デジタル大辞泉の解説 
かちょう-おん〔カチヤウ-〕【可聴音】
人間の耳に聞こえる音。およそ20~2万ヘルツの周波数の音波。
本当にヒアリング力は上がるのか!? 高周波トレーニングをやってみた.
http://www.funlearning.co.jp/archives/4205
1歳半~2歳半の子どもを持つ保護者の方へ
子どもとの遊びを楽しむコツ 国立精神・神経医療研究センター
精神保健研究所 児童・思春期精神保健研究部
http://www.ncnp.go.jp/nimh/jidou/research/elearning7.pdf#search=’%E3%83